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アップルパイへの想ひ

10月を過ぎる頃になると、チラホラお客様から「アップルパイは始まりましたか?」

というお問い合わせが増えます。

こればかりは、リンゴが出てこないとなんともし難いのですが、今年は例年より早めに始めました。

以前は契約していた農園(福島市伊達市)から仕入れた物しか使いませんでした、お互い顔がわかり人柄がわかる方から仕入れしたかったからなんです。

その方からはリンゴに関する様々な知識をいただきましたし、実際に農園にも行き土作りの方法なども見ましたね、今は見かけなくなった王林(おうりん)という品種はこの地域が初めて作ったものだそうです、しかし市場で人気が出るかどうかは博打のようなもので、接ぎ木してから果実ができるまでの6~7年はかかるそうで・・・本当に大変な仕事だな~~と痛感しました。

アップルパイには“紅玉(こうぎょく)”が適してると言われています、しかし生食にはあまり適しておらず、数量が限られてしまうし、単価も高めです、農園の方にリンゴの系譜の話を聞いてみた処、品数も多く安定しているものとして、”ふじ系”がいいのではないか?と提案いただきました。それからリンゴの煮方を工夫し、ようやく出来上がったものが、新月堂特選の”アップルパイ”なんです。

他のリンゴでもいろいろ試しましたが、今はこれがベストの選択だと思っております。

煮ると旨みが煮汁にも出てきます、その汁は継ぎ足しながらどんどん深い味わいになっていくんです、今の煮汁はかれこれ10年以上はたったでしょうか?これも最初はシーズンが終わると捨ててしまっていたのですが、今ではず~っと継続中です。

そうそう、この農園さんはリンゴの栽培を辞めてしまいましたので、新たなルートで今は山形産を中心に使っているため、今年は少し早めから店頭に出すことができたのです。

今ではリンゴは1年中スーパーなどでは見かけますが、やはり美味しい季節限定にしたいので、1月中ほどまでで終了したいとは考えております、これも以前は4月くらいまで作っていたこともありましたが、どうしても鮮度が落ちてくると、美味しく煮る事ができなくなってきますので、ご了承くださいませ。

やはり季節の物は限られているからこそ、美味しいし、次の季節が待ち遠しくなるんだと思います。

今は旬を感じる事ができなくなっています、技術が進んで1年中食べられる物が多くなっているからでしょうね。

お菓子は特に季節を感じて味わって欲しいのです。

余談ですが・・先日あるスーパーで”柏餅”を売っていて、さすがにゲンナリしてしまいました。

う~~~ん・・・・

日本にある四季、日本の良い風情。

忘れて欲しくないかな。。

では、今年もシーズン入りのアップルパイ。よろしくお願いします。